山本周五郎『其角と山賊と殿様』
出演者コメント
榎本其角役:五月雨江
「俳人の役を演じられたのは僥倖でした。これが、あいどるのれっすんにもなると聞きましたが……」
井上相模守役:日向正宗
「相模に所縁があるからって配役されたよ。最後に家康公の刀であるソハヤノツルキと笑い合って幕が閉じて、主が泣いていたけど……」
頭領(徳川家綱)役:ソハヤノツルキ
「徳川家の刀で真っ先に浮かんだのが俺だったそうだが、家綱の時分は久能山で墓守をしてたな。次は顔を出す役で!」
服部嵐雪役:後藤藤四郎
「五月雨江の面倒を見るなら俺!っていう配役。まあ、付き合いは長いぜ。次はもっとでっかい役にしてくれよな!」
小川破笠役:村雲江
「雨さんの同居人という役どころは嬉しかったよ。でも、ずっとお腹が痛くて……」
その他出演者
鯰尾藤四郎、物吉貞宗、愛染国俊、包丁藤四郎はいずれも徳川家が所有したことがある刀。
松尾芭蕉役・今剣は源義経が持っていたという伝説上の刀。
本作は、昨今の時勢を見て、「今こそ読まれるべきではないか」と思い、動画化しました。
博物館・美術館の閉鎖、舞台・演芸の自粛、アーティストたちの苦境。
中でも、私が悔しくてならなかったのは、『刀剣乱舞』小狐丸が文楽とコラボしたのに、お披露目がTwitterだったことです。
たいへん素晴らしい人形を作ってくださったんです。
文楽は存続が危ぶまれている日本伝統芸能の一つです。
古い文化と新しい文化が融合する、そのためにどれだけの労力が掛かったのだろうと思うと、観劇に行けないことが悔しくてなりません。
さて、『其角と山賊と殿様』の話をしましょう。
なぜ「読まれるべき」と思ったのか。
それは本作の為政者が芸術・芸能に理解があるからです。
この世界には何万、何億もの種が生きていますが、芸術をするのはヒトだけです。
「ヒト」を「人」らしくするもの。その一つが芸術だと私は考えます。
なぜなら、芸術はコミュニケーションだからです。
表現者と鑑賞者。この二人が居て、芸術になる。
時代の寵児になる人も居れば、死後に評価される人も居る。
死んだ人とはコミュニケーションを取れないじゃないかと思いますが、その人の死後も目を向けつづけるのは「人」らしい行為で、故人を偲ぶというのも立派なコミュニケーションの一だと私は思っています。
現在、世界を襲っている苦しい状況がこれからどうなっていくのか。
何も分かりませんが、ただ、できることがあるのだとすれば、表現者あるいは鑑賞者でありつづけることではないでしょうか。
私は県境を跨ぐことも許されない場所に住んでいるので、危険視されない状況になったら、まず舞台を観に行きたいです。
多くの劇団、俳優、舞台をスタッフの皆さん……私に楽しみをくれる方々の日々が守られ、劇場でお会いできるよう、政治にはいっそう努力してほしいところです。
待っている間、私は本を読み、こんな動画を作っていようと思います。
あなたがここまで鑑賞してくださったことに感謝を!
追記
2021/5/14
文化庁から発表された非常事態宣言下での芸術活動・博物館及び美術館に対する見解。
この言葉を聞けてよかったです。
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/sonota_oshirase/20032701.htm
文楽の小狐丸