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​中原中也『深夜の峠にて』

​コミュニケーションは孤独だ

出演者コメント

私役:一文字則宗

​「なかなか難解な作品だったな。ん? 僕の言っていることも難しいって?」

本作は難しい!

「記述」によるコミュニケーションを否定して孤独を謳歌している文章に見えますが、

本当はコミュニケーションの可能性を追い求めているようにも感じられます。

なぜなら、中原中也が本作を著している時点で

「記述」によるコミュニケーションのボールは投げられているからです。

私たちは本作を読むことで、ある程度、中也が感じた「好い気持」を想像できます。

しかし、それは、いかに中也の文章が素晴らしくても「可及的可能」、

できるだけでしかないのです。

中也が実際に味わった「好い気持」は中也のものでしかないわけです。

伝えきれないわけです。

そこに、コミュニケーションの「孤独の内包性」があります。

詩人であろうとしつづけた中也が、

きっと言葉に対して誰よりも敏感だったろう中也が、

​言葉による伝達を儚んでいたのは、ちょっと切なさを覚えますね。

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